アトピー性皮膚炎〜アレルギーうそ、ほんとう?〜 |
「アトピー性皮膚炎」という病名は誰でも耳にした事のある病名でしょう。
でも、アトピー性皮膚炎は原因、治療、診断など不確かな点もあり
多くの患者さんが混乱している病気です。
そこで今回は、日頃の診療で尋ねられる
アトピー性皮膚炎に対する疑問のいくつかにお答えします。
■ アトピー性皮膚炎とは?
アトピーとは簡単に言えばアレルギー体質のことです。
そしてアトピー性皮膚炎とは皮膚が乾燥していることに加えて、
アレルギー反応などの多彩な刺激をうけ、かゆみを伴う湿疹ができ、
よくなったり、悪くなったりを繰り返す慢性の病気です。
最近では小児だけでなく、成人になって発症するアトピー性皮膚炎も増えています。
乳幼児では食物アレルギー、年長児はチリ、ダニアレルギー、
思春期ではストレスが発症に関与していると言われていますが、
実際は環境、発汗、細菌・真菌、心理面など種々な因子が発症に関与しています。
原因・悪化因子は多岐にわたるため、患者さんごとにそれらを把握して、
除去など環境整備を含めた対策が必要になります。
■ アトピー性皮膚炎の治療は?
環境整備、スキンケア、外用剤、内服薬、かきむしり防止が治療の中心です。
そして治療目標はかゆみを抑え、皮膚のよい状態を続けることです。
そのためにこれらの治療を総合的に行っていく必要があります。
■食事制限は必要?
食事制限に関しては賛否両論ありますが、
食事制限の根拠をアレルギー検査のみで行うのは正しくありません。
アレルゲンと症状との関係を明確にすることが大切です。
特に乳幼児では、食物とアトピー性皮膚炎の関係が重要視されています。
その場合では、検査のみでなく充分に観察することで、アレルゲンを明らかにします。
また乳幼児は大切な脳が形成される時期でもあります。
食事制限を素人判断で行うことも禁物です。
やむなく食事制限を行う場合も、代替え食品を考えるなどの栄養面に注意を払い
食事制限を行う必要があります。
乳児早期のアトピーは顔に出やすい特徴はあります。
しかしこの時期乳児湿疹も顔に多く見られるので、
一時期だけでは完全に区別はできません。
診断確定には経過を追うことが大切で、
診断までに3ヶ月以上かかることも稀ではありません。
乳児早期の湿疹を安易にアトピー性皮膚炎と
決めつけることは、ある意味危険なことです。「